つぼのなかをのぞく日記

日々のあれこれの記録。たぶん他の人の役には立たないだろうけども、

2021年10月23日

忘れるには忍びないし、いや、忘れてもいいような気がする……けど誰かに話しておけば……でもねえ、他人に話すようなことでもないし、自分のささやかな日記に記すぐらいは、と思うようなことがある。それは2日前にみた夢の話で、不特定多数の目に触れるような場所よりは余った大学ノートや携帯電話のメモ帳に書いておくのがより適切なようにも思うけど、衝動的に今・此処に書いておこう。

 中学なのか高校なのか、定かではないけどとにかく体育館にいて、多人数でドッジボールをしていた。ドッジボールを高校でします? と思うと中学校の体育館かもしれない。私の通っていた中学校なのかは、もう二重に遠い記憶で曖昧だ。まあ夢というものは支離滅裂なので、現実の記憶を探ることに大した意味はない。
 とにかくいつの間にかドッジボールをしていて、夢の中の私は最初からいるのか誰かに当てられたのか、敵陣のコートの外側にいた。そこでちょっとボールのやり取りをして、私がボールをつかんだかと思うと、ゲームはなぜかバスケットボールに変わっていた。このへんの切り替わりはシームレスで、ともすると最初からバスケットボールだったのを私がドッジボールだと勘違いしていたのかもしれないが、まあ夢というのは支離滅裂なものなので……。
 ともあれ夢の中の私は全然不自然さを感じず、バスケットボールに参加しボールを追った。ただなぜか、やってる内にボールが無数に増え、試合は成り立たず、やがて増えたボールの片付けに追われた。印象に残っているのは、空気が抜けてヨボヨボになったバスケットボールの空気穴に、一粒のコーンが詰められていたことである。夢の中のことではあるが、衛生的でない上に食べものを粗末にしているようで、そんなことをした犯人に反感を覚えた。いま思うと、バスケットボールに何かのきっかけで開いた穴から空気が抜けるのを防ぐため、コーンを詰めたのかもしれない。それが私でなく、見もしなかった夢の中の登場人物を想定するのは馬鹿らしいけど、そんなことかもしれない。
 そうして片付けると、体育館で集会が始まった。私は空中に浮いて、体育座りで集まっている同級生(多分そうだろう)の列を飛び越えると、そのままフワフワと体育館を出ていった。私はよく夢の中でフワフワするというか、空中を飛ぶ夢を見るのだが、そんな感じである。こう、直立したまま両腕を勢いよく下に振ると少し浮くので、それを何回もやると結構な高さまでイケる。降りるのが怖くなるぐらいの高度で、夢の中でも高い所は怖いんだな、と目が覚めた後に思う。運が良ければ1回腕をブンと振っただけで人ひとり分の、丁度よい高さで気持ち良く飛べる。
 体育館を出ると、地下に降りる階段があった。階段は螺旋階段のように、一定のスペースを四角にめぐる様にして下に降りていた。一辺が4mくらい。体育館を出るときはフワフワ浮いていたが、多分夢の中でも階段の上を浮いたまま降りるのは危ないと思ったのか普通に歩いて降りた。
 降りていくと小さな部屋にたどり着き、階段の最下段のすぐ横にすりガラスのつい立てがあった。その向こう側に談笑する声が聞こえた。その人達はたぶん女性ふたりで、なぜか夢の中の私は彼女らを漫画家だと思った。多分漫画家だと思い、顔を見もしない内にその名前すら頭に浮かんだのだが、浮かんだ名前は漫画家ではないのが奇妙なところ。夢は支離滅裂。ちなみに夢の中で浮かんだ名前は柴田元幸姫野カオルコだった。階段の降りたところでそんなことを思っていると、つい立ての向こうから「誰だと思う?」と聞かれた。妙に高圧的で、夢の中でささやかな当惑と恐怖を感じつつ、正直に浮かんだ名前を答えた。夢の中で時間の観念がアテになるかはわからないけども、ちょっとの沈黙があった。一拍置いて、大きな眼鏡をかけた若い女性がつい立ての上から顔を出した。「誰だと思う?」ともう一度。無表情。その顔を見ても誰だかわからず、やはり同じように浮かんだ名前を答えた。大きな眼鏡の女性はそれを聞くとつい立ての向こう側に引っ込み、また談笑を始めた。私は部屋の隅に階段を見つけ、更に下へ降りていった。すりガラスの向こう側は見なかった。怖かったからだ。
 更に下へ降りると、大学の学生寮みたいな場所が拡がっていた。私はそこを訪れたことがあるように感じたが、おそらく夢の中だろう。あるいはデジャヴュ。夢の中で感じるのも奇妙だが。そこで顔見知り(多分そうだろう)の若い男性達に声をかけられ、少し立ち話をした後、更に下に降りて矢の回収に向かう。この辺はあまり覚えていないのだが、建物を出て、地面に刺さっている矢を回収するという話だったと思う。中庭のような所におそらく矢があって、それを抜いたような気がする。体育館の地下だったはずが、視界の上のほうには青空が見えた。顔見知り数人と一緒に回収した矢は細かくささくれ立っていて、それが手にチクチクと刺さって痛かった。以前、斧で自分の右腕が切断されるという夢を見たことがあったが、その時は痛みを感じなかったのでこれは起きてから不思議に思った。
 回収した矢を持って歩いていると自衛隊の訓練に出くわした。自衛隊の訓練なんてよく知らないし現実に見たことはないが、夢の中ではそう思った。1人の自衛隊員がこちらを見て何かを言ったが、よくわからない。そこで何かひと悶着があったような気もするが、覚えていない。
 そんなわけでそれは置いておいて、しばらく歩いていると目的地に着いた。その時に目的地を知っていたわけではないけど。そこには木で出来たホワイトボードみたいなのがあった。板の上のほうが奥に傾いている。その傾いた板の所に矢を貼り付けるようだった。顔見知りの人が(おそらく例として)矢を貼り付けようとする。するといつの間にか矢には2匹のハムスターがくくり付けられていた。激しくもがいていた。ハムスターを矢に固定している紐のような何かがちぎれた。顔見知りの人はハムスターを捕まえたが、不機嫌そうに舌打ちすると、草むらに投げた。2匹とも。おそらく、そのハムスターがくっついたままの矢を板に固定しなければならなかったのだろう。そんな感じがした。私は自分が手に握っている矢を見た。もうチクチク痛みを感じてはいなかったし、ハムスターがくくり付けられてもいなかった。ただの矢だった。そんな夢だった。